◆令和元年度　総会
１　日時　令和３１年５月２９日（水）　午後５時４５分～（受付５時３０分～）
　　　　　　※生き方探究（キャリア）教育に関する研修会終了後
２　場所　京都市総合教育センター　　第４研修室（２階）
３　内容
　　　　　　○研修会　　１７：５０～１８：２０
　　　　　　　講　演　　「キャリア・パスポートのこれから」
　　　　　　　講　師　京都まなびの街生き方探究館指導主事　葉山みどり先生
　　　　　　◯総　会　　１８：３０～１９：１５
　　　　　　　（１）会長挨拶
　　　　　　　（２）平成３１年度・令和元年度　役員紹介及び承認
　　　　　　　（３）平成３１年度・令和元年度　研究計画・組織
　　　　　　　（４）平成３１年度・令和元年度　事業計画
　　　　　　　（５）副会長挨拶
　　　　　　○配布資料
 

◆第４回全国キャリア教育研究
　第１回全国小学校キャリア教育研究協議会　京都大会の実施報告（会場校：岩倉北小学校）

（大会主題）
ともにつなげる！子どもと未来！
「いま」を見つめ，ともに「未来」へつなげる子どもの育成
～すべての教育活動を通して育むキャリア教育～

　１日目の京都まなびの街生き方探究館での施設見学ならびにキャリア教育の実践交流会，また夜の参加者交流夕食会に引き続き，２日目は会場を岩倉北小学校に移し，記念講演と公開授業，課題別分科会，シンポジウムを行いました。

　研究報告では，本研究会の研究部長である金閣小学校の井上拓哉先生から研究の概要と今年度の研究主題「「対話でつながる，未来とつなげる」振り返りと話し合い活動を通して，主体的に未来へ向かう子どもの育成～すべての教育活動を通して育むキャリア教育～」のもとに研究会として大切にしてきた生き方探究教育の視点を取り入れた授業実践などについて報告がありました。本研究会では生き方探究教育の実践のキーワードとして「つながり」を掲げています。児童と実社会・実生活，人と未来をどのように結びつけ，何のために学ぶのか，理論と実践の両面から共に学んできた一端を会場のみなさんに向けて紹介がありました。
 
　記念講演では，文部科学省初等中等教育局児童生徒課生徒指導調査官，国立教育政策研究所　生徒指導・進路指導研究センター統括研究官の長田徹先生を講師にお招きし，「小・中ともにつなげるキャリア教育のすすめ」と題して，ご講演いただきました。
　講演の中では大分県の小中連携した事例，北海道の小学校での事例，佐賀県の小中学校の事例など，全国各地の事例を取りあげながら，現在のキャリア教育の実践の実情についてご紹介いただきました。国際調査等の結果をみると，日本の学力は高い水準を維持しています。その一方で，日常生活に役立つと感じていると思う子どもの水準は極めて低いことがアンケート結果からも浮き彫りになっています。また，日本は高い学歴をもちながらも仕事に結びついてない傾向も高いと社会全体の課題にも触れてお話がありました。
　このような実情をふまえて，新しい学習指導要領に新たに加わった学級活動（３）について具体的な実践の報告がありました。その中で強調されていたことが「学びを学年・校種をこえて積み上げること今の学びが社会につながっていることを実感させることが大切」だということです。方策は担任や校種によって異なったとしても全ての担任・学年のもとで行い，教科横断的に実践していくことが子どもたちの自己変容のためには大切にあることを再確認することができました。また，紹介された事例の中で共通していたのがキャリア・パスポートを小中，さらにいえば高までを見据えて持ちあがっていくことです。例えば，佐賀県の事例ではエピソード記録として短期的には朝の会，終わりの会，中・長期的には学級活動で実践し，対話的に関われる機会を意図的に設定されています。その中で印象的だったのが秋田県のキャリアノートの実践についてです。長田先生はこのようにおっしゃっていました。「すごいことをやっているのではなく，どこの学校でも『できること』を積み重ねることが大切である」と。
　その一方で課題についても言及されました。小中連携して取り組むとなると，１２年間持ちあがることになります。ある時に力点がいくと，膨大な量になってしまいます。時には取捨選択をすることで情報を精選することも必要であるとお話がありました。
　本研究会でもキャリアリフレクションと名付け，様々な実践を重ねていますが，校種をこえた実践や低学年での実践など，まだまだ課題もあります。長田先生のお話を聞いて，さらに具体的な実践の検討の必要性を感じました。また研究会でもキャリア・パスポートの実践のあり方については議論を重ねていきたいものです。
 
　その後，公開授業があり，育成学級を含む１３学級の授業を提供していただきました。低学年は国語科，中・高学年は社会科の授業を通して，岩倉北小学校の研究で大切にされている本質的な問いを大きな柱として掲げておられる対話と振り返りの２点を通して，各教科等の本時の目標と社会がどのようにつながっているのか，子どもたちが活発に意見を交わす姿からこれまでの積み上げてこられたことがよく分かる授業でした。 
 
　午後の分科会，シンポジウムの様子について次号でご紹介します。ご多忙の中，ご講演いただきました長田徹先生，公開授業をはじめ当日に向けてご尽力いただきました岩倉北小学校の先生方，感謝申し上げます。本当にありがとうございました。